2009年8月12日水曜日

天声人語 2009年8月12日(水)

この世界のことを「天地」と書いて「あめつち」と読む。そこからの連想だろうか、古くには「天地の袋」という縁起物があって、女子が新春を祝って作ったそうだ。幸福を中に入れて逃がさぬようにと、上も下も縫い合わせたという

我没把这个世界的事情叫做「あめつち」,却写作「天地/てんち」,也许是来自这里的联想,很早以前,女孩子们制作了祝福新春的“天地袋”。把幸福放入其中,为了不让她跑掉上下都缝起来。
【天地の袋】女子が新春の祝いとして作る袋で、幸福を多く取り入れて逃さぬように、上下をともに縫い合せた。また、「天地を袋に縫ひて」と唱えて新春を祝った。一条大納言家歌合「―の数し多かれば」

▼天地のはざまに人は住み、世界には多彩な幸がある。一方で、あれやこれやの災いも多い。「天変地異」はその最たるものだ。台風という天変を心配して床に就いたら、朝早くに地異で跳び起きた。「すわ東海地震か」と肝をつぶした人も多かったのではないか

人们住在天地的狭缝中,世界是多彩幸福的。另一方面,又有着这样那样的灾难。最甚者恐怕就是“更天换地”了吧!担心台风而睡在地板上,早上担心地震而跳起来。一听到「不得了,东海地震!」,心都要碎了的人不是也很多吗。

▼駿河湾を震源とする地震は、静岡県を中心に広い地域を襲った。台風が来ているからと遠慮することなく、雨にゆるむ国土を最大震度6弱で揺さぶった。東名高速道の路肩がざっくりとえぐられた

以駿河湾为震源的地震,袭击了静岡県为中心的广大区域。台风的到来都无法顾及到,大地在雨中摇动。東名高速的路肩也被挖去了也一大块。

▼きのうの小欄は天変について書いた。空の変調もときに急激で、たとえば「三杯雷」という言葉がある。雷鳴を聞くと飯を三杯食べる間に土砂降りになる。そんな戒めだという。だが地震にはその間もない。常に背後からの辻斬(つじぎ)りさながらだ

昨天本栏目里写了天气变化。天气有时是会骤然变化,比如就有「三杯雷」的说法。XX(无解)XX。等这类的告诫。但是,地震就没有这类说法了;总是,武士试刀什么的。

▼おとといの小欄に引いた寺田寅彦は、防災の大切さを説く警世家でもあった。日本の自然には「慈母の愛」と「厳父の厳しさ」があると述べ、愛に甘えて厳を忘れると痛い目に遭うと警告を残している

前天说到的寺田寅彦,是一个宣传防灾的警世家。日本的自然包含了母亲的慈爱和父亲的严厉,为了在享受爱的时候,不要去忘记严厉;他给我们留下了严厉的目光。

▼天変も地異も、はるか太古からの地球の営みだ。きのうの揺れは東海地震の前兆ではないようだが油断はならない。天地のはざまに間借りするわれわれ次第で、被害は増えも減りもする。怠ってはいないかという、厳父からの忠告かもしれない。

改天换地,自古以来就是地球的工作。我们不能大意的认为昨天的晃动不是东海大地震的前兆。借住在天地狭缝中的我们,灾害时多时少。不要怠慢,就是严父给我们的忠告。

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